SAP BASIS システムコピー時間短縮 3つのアプローチ(vol.13)

2021.2.8

近年、DX推進や運用費削減、SAP S/4HANA移行の第1歩として、オンプレミス環境にあるSAPシステムをクラウド環境に移行する動きが活発化しています。
SAPシステムのクラウド移行は本稼働システムの停止が伴うため、業務影響を出さないように本番移行期間中に作業を完了させる必要があります。

本ブログでは、インフラ寄りのSAP領域であるBASIS観点より、移行時間を短縮するための主なアプローチについて整理・解説をさせて頂きます。

SAP BASIS のシステムコピー時間の主な変動要素とは?

この記事では前提を2点置かせて頂きます。

  • オンプレミスのSAPシステムをAWSAzure等のパブリッククラウドに移行する場合を想定して記載させていいただいております。
  • 異種システムコピー(ソースシステムとターゲットシステムでOSDBが異なるシステムコピー)によるSAP移行の実施。
    同種システムコピー(OSDBがソースシステムとターゲットシステムで同じ)の場合でも一部は活用可能かと思います。

SAP移行におけるシステムコピーとはざっくり言うと、ソースシステムのSAP ERPのデータをエクスポートしターゲットシステムにインポートすることでSAPシステムを複製する手法のことです。

例えば、リモートシステムのデータをローカルPCに出力する場合は「選択したデータの件数」や処理が「マルチプロセスかシングルプロセス」で実行されるかによって所要時間が変わってきます。
また、リモートシステムからローカルPC間の「データ転送」にも時間を要します。
SAP移行のシステムコピーの処理時間を考える場合、同じような観点で見ていく必要があります。

少し整理をすると変動要素は次のようになります。
それぞれのアプローチについて見出しごとに解説していきます。

  1. データに対する移行アプローチ「データの量、データの転送、データの書出/読込」
  2. プロセスに対するアプローチ「プロセス数」
  3. テーブルに対するアプローチ「テーブルの分割」

データに対する移行アプローチ「データの量、データの転送、データの書出/読込」

データに対する移行アプローチですが、コピーするデータ量が多い=処理対象が多いため、データの書き込みや読み込みに時間がかかります。
また、データの転送速度(ディスクの処理速度)が遅ければ、それだけデータファイルの生成やデータの読込にも時間がかかります。

要素を一段ブレイクさせて頂くと下記の通りとなります。
この見出しでは、それぞれに対してシステムコピー時間を短縮するためにデータ観点で検討すべき事項を解説します。

  • データの量
  • データの転送
  • データの書出/読込

データの量

ソースシステムのデータを削除することで、エクスポートするデータ量を減らすことができます。
まずは不要なデータがないかを検討します。
例えば、スプールデータがクリーンアップされておらず残存しているか、使用されていないクライアントが残存していないかを確認し、不要なものは削除します。

データの転送

データの量によって最適な転送方法を検討します。
エクスポートしたファイルを転送する方針であれば、オンプレミスとクラウド間でNWを接続し伝送する方法、ネットワーク経由でAWS S3Azure Storageに格納しターゲットシステムにダウンロードする方法、AWS SnowballAzure Data Box等のディスク媒体を使ってクラウド上へアップロード後にターゲットシステムにダウンロードする方法があります。
ネットワークを利用した伝送を行う場合はNWの帯域に注意する必要があります。

データの書出/読込

データ観点からはエクスポート時のデータファイルへの書き込み速度、インポート時の読込速度が重要になります。
IOPSの向上を図ることが可能なのかを検討します。
クラウドの場合はIOPSが高いディスクを利用する方法、ディスクサイズを増やす方法があります。
(オンプレミスは難しいと思いますが)

プロセスに対するアプローチ「プロセス数」

前述のデータの書込/読込に関わりますが、並列処理数を増やせばそれだけ早く書込/読込が完了します。
そのため、システムコピー実行プロセス数を増やすためにサーバーCore数を増やせるかを検討します。
クラウドの場合は仮想マシンのサイズ変更は容易なため、一時的にCore数が多い仮想マシンに変更をする方法があります。
(こちらもオンプレミスの場合は難しいと思いますが)

テーブルに対するアプローチ「テーブルの分割」

並列処理数が十分ある場合は、ボトルネックはデータ量が多い等で処理時間がかかるテーブルとなります。
そのため、プロセス毎の処理時間の平準化を図るためにテーブル分割を検討します。
ただし効果の高いチューニングを行うためには豊富なBASIS経験をもつ担当者をアサインし、テストを複数回実施して分割テーブルや分割数などを調整する必要があります。

SAP BASIS システムコピー時間短縮に向けた3つのアプローチ まとめ

システムコピー時間を短縮する検討の足掛かりとして、BASIS観点で3つのアプローチについて解説してきました。
これらの短縮アプローチは、あくまで本番移行期間中にシステムコピーが完了しない場合にご検討いただければと思います。
(アプローチによっては費用も時間もかかりますので)

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