SAP RPA 連携ソリューションとは?(vol.51)

2021.11.9

SAP ERPは、企業全体の情報を一元管理することにより経営資源の最適な分配と経営の効率化を実現しますが、各部門からSAP ERPに対してデータを手入力する必要があります。手入力となると、どうしても入力ミスが生じてしまうことがあります。
従来は自動入力の仕組みをアドオンプログラム開発で対応することが主流でしたが、昨今はRPAで入力作業を自動化するという選択肢も増えてきました。入力作業をRPAによって自動化することで、生産性が向上することはもちろん、人為的ミスの介入がなくなることでサービス品質も向上できます。また、RPAは、これからの人員不足の解消手段としても、大いに期待されています。

そこで本ブログでは、SAP S/4HANAと連携し自動化を促進するRPAソリューションについて解説します。

SAPの自動化を促進するRPAソリューションとは?

皆様すでにご存じかとは思いますが、まずはRPAについて軽くおさらいしておきましょう。
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の頭文字を取った略語であり、コンピューター上で行われる業務プロセスや作業を人に代わり自動化する技術です。技術そのものではなく、業務プロセスや作業を自動化/代行するソフトウェアロボットのことを指してRPAと言うこともあります。人間が繰り返し行うクリックやキーボード入力など定常的な業務が自動化できることから、仮想知的労働者(デジタルレイバー/デジタルワーカー)とも呼ばれています。

SAP ERP関連業務の効率化やアドオンプログラムの代替としてRPAが有効となる理由は、以下の通りです。

  • RPAはSAP ERPへの入力業務のみの自動化だけではなく、前後業務の自動化にも活用できるため、End to Endのプロセスに対して自動化が可能
    (例: Excel加工、メール送信、OCRやチャットボット含む他システムとの連携など)
  • アドオンプログラム開発と比較し、RPA開発は開発期間が短い
  • SAP開発リソースに比べ、RPA開発リソースは比較的調達が容易である
  • SAP開発リソースに比べ、RPA開発リソースは調達単価が低い
  • アドオンプログラムに比べ、RPAで開発されたプログラム(ワークフロー)はメンテナンスが容易

※あくまで上記は一般例のため、費用/開発期間/開発難度/メンテナンス性等の観点からRPAによる対応が適している業務はRPAで実装することをお勧めします。

さて、このRPAですが、SAP S/4HANAと連携可能なソリューションはあるのでしょうか?
私は以下2つのソリューションが、SAP S/4HANAと特に親和性が高いと考えています。
① SAP Intelligent Robotic Process Automation(以下、SAP Intelligent RPA)
② UiPath

上記①②がSAP S/4HANAと親和性が高いと考える理由なども含めて、次章以降で詳しく解説していきます。

SAP RPA 連携ソリューション① SAP SAP Intelligent RPA

SAP Intelligent RPAは、SAP社が提供するRPAソリューションです。
2018年10月、ドイツのSAP本社はRPAの設計と統合を手がけるフランスのContextor社を買収し、2019年5月よりSAP Intelligent RPAとして提供を開始しました。SAP Intelligent RPAはSAP社が提供するRPAソリューションですから、同じSAP製のSAP S/4HANAと親和性が高いのは当然ですね。

SAP Intelligent RPAの特徴は以下の通りです。

  • SAPアプリケーションとの統合
    独自のSAP UIコネクタを含むSAPアプリケーション専用のRPAを活用することにより、画面レイアウトや操作手順に依存することなく、対象とするSAPアプリケーションに直接処理を実行させることができます。
  • RPAコアにAI/機械学習技術を連携することで自動化/自律範囲を拡大
    SAP社が提供しているMachine LearningソリューションやSAP Conversational AI(対話型チャットボット)と連携することにより、単純な定型業務の自動化だけでなく、AI技術を駆使した一歩先の自動化を実現することができます。
  • SAPベストプラクティスとして構築済みのRPAボットを提供
    SAPは、ノウハウを結集したベストプラクティスとして、RPAによる各種業務プロセスの自動化を行う事前定義済みコンテンツを提供しています。そのまま利用するだけでなく、カスタマイズして個別要件に対応させることも可能です。
    事前定義済みコンテンツは四半期毎に追加/更新されるため、これらのコンテンツを活用することにより、クイックスタートを実現可能な他、ユーザーの実装時間とメンテナンス工数を大幅に削減できます。

SAP Intelligent RPAは、以下3つのコンポーネントで構成されるハイブリッドソリューションです。

  • Cloud Studio / Desktop Studio ( On-Premise ):自動化プロセスを設計
  • Cloud Factory:自動化プロセスを管理/調整
  • Desktop Agent:自動化プロセスを実行

SAP Intelligent RPAには、有人実行(Attended)と無人実行(Unattended)があり、要件により最適な実行形態を選択することができます。

  • Attended bots:ユーザーワークステーションにインストール、プロセスの一部を自動化、ユーザーによるトリガー
  • Unattended bots:サーバーに配置、プロセス全体を自動化、スケジュールやトリガーベースの完全自動実行

参考URL:https://www.sap.com/japan/products/robotic-process-automation.html

SAP RPA 連携ソリューション② UiPath

UiPathは、2005年にルーマニアのブカレストで設立されたUiPath社のRPAソリューションです。UiPathは、世界の累計ユーザー数:750,000以上にのぼり、日本でも1,300社以上の導入実績を誇る、RPA市場におけるリーディングソリューションです。
UiPath社は、SAP社のシルバーパートナーとして数年にわたる実績があり、SAP UIとSAP APIの自動化およびSAP Solution Managerとの統合の両方で認定を取得した最初のRPA企業です。UiPathはSAPシステム自動化に対するSAP社の認定を取得しており、SAP S/4HANAをはじめとしたSAP製品と親和性が高いRPAソリューションです。

UiPathには様々な特徴がありますが、SAP S/4HANA連携の特徴としては、SAP S/4HANA連携の標準ツール(以下、2種類)を無償提供している点が挙げられます。

  1. UiPath Reusable Component for SAP S/4HANA(SRC)
    SAP S/4HANAの各トランザクション向け共通部品であり、部品の組み合わせにより、開発工数を大幅に削減することが可能(主にエンドユーザー向け)
  2. UiPath BAPI Automation for SAP S/4HANA
    SAP S/4HANAへのデータ入出力機能(バッググラウンド処理)であり、SAP GUIを起動せずにバッググラウンドで処理を行えるため、高速かつ安定した運用が可能(主に導入パートナー向け)

UiPath自身が開発/提供しているこのツールを活用することで、SAP S/4HANA連携のRPAをゼロベースで開発する必要がないため、導入工数が削減でき、リスク軽減にもつながります。

SAP S/4HANAの自動化において、UiPathは以下の2通りの方法を提供しています。

  • GUI/Fioriを介した自動化:SAP S/4HANAの画面(GUI/Fiori)上で処理実行
  • BAPIを介した自動化:バックグラウンド処理のため、SAP S/4HANAの画面の立ち上げ不要

UiPathも複数のコンポーネントで構成されるハイブリッドソリューションですが、コンポーネント数が多いため、本ブログでは説明を割愛します。
また、UiPathにも有人実行(Attended)と無人実行(Unattended)があり、要件により最適な実行形態を選択することができます。

UiPathを活用することで、SAP S/4HANAの新規導入やコンバージョンプロジェクトにおいて発生する以下の課題を解決可能です。

  1. 顧客要件をSAP S/4HANAの標準機能ではカバーしきれず、大量のアドオンプログラム開発の検討が必要
    → アドオンプログラムとRPAで対応するプロセスを切り分けることでアドオンプログラムの本数を削減
  2. プロジェクトコストが増幅し、抑制が必要
    → RPAで対応することにより、開発コストを削減(ABAPPER > RPA開発者)
    → UiPathのSAP向け共通部品(SRC)を利用することで、開発期間短縮
  3. 開発リソースが不足
    → RPA開発リソースは調達が比較的容易
  4. 開発後のメンテナンスの容易性やコストまで考慮した設計が必要
    → RPAのメンテナンスは、ABAPで開発したアドオンプログラムと比較すると容易
    → また、メンテナンスコストも抑制可能

参考URL:https://www.uipath.com/ja/solutions/technology/sap-automation

SAP RPA 連携ソリューション まとめ

RPAの活用/推進にあたり、連携対象となるアプリケーションとの接続親和性は重要です。今回は、SAP S/4HANAと連携可能なRPAソリューション2つを解説しました。
① SAP Intelligent RPA
② UiPath

既存業務の効率化や追加開発が必要となった際は、RPAを検討してみてはいかがでしょうか?
また、もしこれからSAP S/4HANAの導入/移行をご予定の場合は、全体設計の一部にRPAを組み込むことも併せてご検討いただければと思います。

ISIDは、UiPath社認定のダイヤモンドパートナーであり、「UiPath Partner Awards」を3年連続受賞している国内トップクラスのUiPathパートナーです。
ISIDは、SAPユーザーへのUiPath導入はもちろん、UiPathとAI-OCRを組み合わせ、SAP ERPと連携した請求書支払業務の効率化ソリューション:AIRtriSTAを保有しています。
RPAの導入をご検討の際は、是非、ISIDへお声掛けください。
https://erp.isid.co.jp/solution/airtrista/

本記事は、2021年10月30日時点の情報を基に作成しています。製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、ISIDのWebサイトからお問い合わせください。
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