SAP BO BI ( BusinessObjects Business Intelligence ) の機能・導入効果を解説!(vol.43)
- 公開日:2021.09.07

SAP ERPなどの基幹業務システムにおいて「データ活用」というキーワードで必ず検討されるのがBusiness Intelligence(以下、BI)です。
BIは、組織がよりデータに基づいた意思決定を行えるように支援する役割を担った機能のことを指します。
数あるBIツールの中でも、今回はドイツの世界的ソフトウェアメーカーであるSAPが提供するBIツール『SAP BusinessObjects Business Intelligence』(以下、SAP BO BI)に焦点を当て、機能・導入効果・実際の導入事例を解説いたします。
また、記事の後半では、SAP BO BI以外のおすすめBIツールもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
SAP BO BI ( BusinessObjects Business Intelligence ) とは
SAP BO BIは、さまざまな情報活用シーンに適したBIフロントエンドツールです。
データのレポーティング、ビジュアル化、共有機能が一元化されたスイート製品であり、いつでもどこからでもデータにもとづいた有用なインサイトを引き出すことができます。
リリース開始から25年以上を経て、130を超える国・地域で30,000以上のお客様にご利用いただいているBI製品のデファクトスタンダードです。(2020年6月時点の実績)
SAP BO BIには様々なフロントエンドツールやBIプラットフォーム機能が含まれており、大きく以下の4つに分けられます。
- Crystal Reports ~緻密な書式の帳票出力~
ピクセル単位でのレイアウト調整、スクリプトによる動的な改ページ制御、画像のオーバーレイ、バーコード印字 などの豊富な機能を活用し、細やかな帳票出力要件に応えます - Web Intelligence ~アドホックレポーティング~
ドラッグドロップによるデータ選択、ノンコーディングでの Web レポート作成、ドリルやフィルタによる自由な視点の切り替えによって、不意に生じるビジネス上の疑問をその場で解消することができます - Lumira ~洗練されたBIアプリケーション~
ビジネスデータやストリーミングデータを豊富なビジュアルコンポーネントでリアルタイムに可視化、スクリプティングによるダイナミックな対話操作が可能な分析アプリケーションをデザインすることができます - Analysis for Microsoft Office ~報告資料作成の効率化~
使い慣れたExcel スプレッドシートを用いた集計や多次元分析、分析結果の PowerPoint プレゼンテーションへの埋め込みによって、報告資料作成に関する工数を削減します
上記に加え、SAP BO BIは、レポーティングプラットフォームの効率的な運用を支援する管理機能を有しており、エンタープライズ利用に適したBIツールです。
また、ユニバースという機能を使用することで、データ構造に関する知識がなくとも、ビジネス用語による検索を可能とします。
ユニバースは、分析で使用するデータの仮想的な統合、分析軸/計数や集計ロジックの定義、利用ユーザーに公開するためのビジネス用語を一元管理することのできる業務別・目的別ビューのことです。
これにより、ビジネスユーザー主体の情報活用の促進と、IT部門によるデータモデル保守の効率化を可能とします。
その他、不正アクセスから重要なデータを保護する強固なセキュリティ機能や利用規模とシステム要件にあわせた柔軟なデプロイメントモデルを有しています。
ご参考までに、上記の機能をより詳細に分類すると以下となります。
- クエリー自由分析:Web Intelligence
○柔軟で生産性の高い分析レポーティング
・ビジネス用語でのデータ選択
・容易なドリルダウン、スライス&ダイス、ドリルスルー - 定型帳票:Crystal Reports
○生産性の高いGUIで細かいレポート要件へ対応
・リスト、フォーム、クロス集計、業務帳票、法定帳票へ対応
・GUIでグリッドに合わせて正確なレポート作成 - ダッシュボードアプリケーション開発ツール:Lumira Designer
○拡張性のあるモバイル最適化ダッシュボード
・SAP BW 、HANA 上で分析を実施
・スクリプティングによるロジック拡張 - データ探索&可視化:Lumira Discovery
○セルフサービスでのデータ収集・加工・視覚化
・ポイント クリックで必要なデータを収集/結合/加工
・簡便な操作と豊富なビジュアライゼーション機能による視覚化 - OLAPデータ分析:Analysis for MS Office
○MS Officeアドイン型 MOLAP 分析ツール
・HANA、SAP BWのデータをExcel、PowerPointで集計/可視化
・分析結果をそのまま報告資料として利用 - OLAPデータ分析:Analysis for OLAP
○データを自在に分析するMOLAP 専用ツール
・SAP BW をはじめとする各種 OLAP データをサポート
・複数キューブのデータをレポート上で統合可能 - MS Officeとの融合:Live Office
○MS Office上で直接 BI データを取得・更新
・Excel 、 PowerPoint , Outlook, Word に対応
・「最新表示」のクリックひとつでデータを更新 - BIプラットフォーム:Business Intelligence Platform
○情報活用のためのフレームワーク
・ブラウザ上でのレポート閲覧、作成、編集
・フォルダ単位、グループ単位での容易なアクセス権保守
・ログインや利用情報の監査、監査用サンプルレポート
・ERP 接続のための Integration Kit を包含 - モバイル対応:Business Intelligence Mobile Engine
○モバイルデバイスによる情報活用
・いつでも、どこからでも!見たい情報を常に手元に
・各種モバイル端末で稼働するネイティブアプリケーションを提供
SAP BO BIは、インタラクティブなデザインUI、きめ細やかな書式設定、豊富な関数やアラートによる集計機能を使用し、Webベースのアドホックなレポートや印刷用途の定型帳票を作成することができます。
また、使い慣れたMicrosoft Officeとの連携による作業効率化を促進可能です。
SAP BOライセンスは、購入ライセンス数に上限がなくエンタープライズ利用に適した「SAP BusinessObjects Enterprise」の2つのパッケージと、限られた規模での利用を想定したパッケージ「SAP BusinessObjects BI, Edge」と「SAP Crystal Server」があり、パッケージにより利用可能なフロントエンドツールの種類が異なります。
※詳細なライセンスメトリックについては割愛いたします。
SAP BO BI の導入効果
SAP BO BIを導入することで「どのよう効果を得られるのか?」という点も気になるかと思います。
SAP BO BIの導入効果の1つ目は、ビジネスのサポートが得られる点です。
SAP BO BIのプラットフォームは柔軟性に富んでおり、利用規模とシステム要件にあわせた柔軟なデプロイメントモデルをご用意、最新のBIテクノロジーと幅広いデータソースを活用できます。
リアルタイムデータ分析が可能なため、変化するビジネスニーズにも対応できるはずです。
2つ目は、データを有用な情報に変えて必要な人に提供できる点です。
包括的なBIスイート製品であるため、企業における意思決定者の多様化に追随可能です。
経営層・マネジメント層から経理部門および業務部門の担当者まで、各人にとって有益な情報に変換して提供が行えます。
3つ目は、ビジネスの俊敏性の向上とパフォーマンスの最適化です。
ハイブリッドアナリティクス戦略でデータをクラウド上から取り出すことができ、どこにいてもデータを確認できてスピーディーにデータ分析を行えます。
SAP BO BI の導入事例:第一稀元素化学工業株式会社
第一稀元素化学工業株式会社(以下、第一稀元素化学工業)は、SAP BO BIを導入して以下のポイントを期待しました。
- 損益を正確に把握するための仕組み作り
- 経営判断&業務判断の迅速化&精度向上
第一稀元素化学工業は用途や地域受注先の損益原価分析を「分かりやすく行える仕組み」にする必要があると考えました。
そこで、SAP BO BIを利用して、売上の達成度をマーキングスコアボード化し、グラフやシグナルの可視化などを行いました。
結果的に開発は成功してデータ分析の向上となり、企業内でデータ分析の機運が高まることになりました。
参照元URL: https://www.sapjp.com/blog/archives/19105
SAPデータ活用って、正直どうすればいいの?
~BIツールの最適解~
SAP BO BI 以外のおすすめBIツール①BusinessSPECTRE(ビジネススペクトル)
BusinessSPECTREは、SAP ERPに格納された大量のデータを簡単な設定でMicrosoft SQL Serverに抽出するツールです。
データ抽出のみならず、固定帳票のテンプレートやノンプログラミングでユーザーが自由に軸や条件を設定できる自由分析レポート機能も提供しています。
SAP S/4HANAとも連携可能なBusinessSPECTREは、以下3点の特徴があり、評価が高いBIツールです。
- ECC6.0上のデータや帳票系アドオンを削減することができる
BusinessSPECTREを導入することで、ECC6.0上のデータや帳票系アドオンをSQL Serverに移行できます。これにより、SAP S/4HANA移行の際には、最低限のデータやアドオンのみを移行すればよいため、コストやダウンタイムを低減できます。 - テンプレートを活用し、短期間で導入することができる
通常のBIツール製品は、要件定義~レポート・テーブル定義・キューブ設計、SAP解析、I/F設計~プログラム開発・テストを行う必要ありますが、Business SPECTREはデータ抽出からレポートまで構築済みのため、最短1ヶ月ほどで導入可能です。 - 現場の見たいと内部統制(データマネジメント)を両立できる
「部門ごとに見せる数字は制限したいけど、分析の自由度は与えたい!」という要望を実現すべく、エンドユーザーによるWebブラウザからの多軸分析を可能としつつも、レポート管理者がエンドユーザーに許可する操作を詳細に定義可能な仕組みを実現しています。
参照元URL(BusinessSPECTRE公式サイト):
https://erp.isid.co.jp/solution/sap-bi-businessspectre
BIツール BusinessSPECTRE導入事例:株式会社オーディオテクニカ
Business SPECTREの導入事例としては、株式会社オーディオテクニカ(以下、オーディオテクニカ)があります。
世界中に高品質なオーディオ機器を提供する株式会社オーディオテクニカは、グローバルビジネスの拡大に向けてSAP S/4HANAをMicrosoft Azure上に構築しました。
同社はSAP S/4HANAと連携するBI基盤としてBusinessSPECTREを採用。
テンプレートを用いることで、わずか6ヵ月間で構築を完了しました。
既存の帳票環境を移植することで業務の継続性を維持し、稼働直後から営業部門を中心に約300名が販売実績の分析や予実管理などに活用しています。
参照元URL: https://erp.isid.co.jp/casestudy
SAP以外のおすすめBIツール②Tableau(タブロー)
SAP BO BI以外におすすめのツールはTableauがあります。
Tbleauは、「誰もが使いたくなる分析環境 Tableau」をコンセプトに、強力でセキュアかつ柔軟なエンドツーエンドのデータ分析プラットフォームを実現しています。
また、ユーザーを第一に考えた設計がされており、直観的に使いやすい操作性を有するのも選ばれる理由でしょう。
次の3つからも利用者ファーストなことがうかがえます。
- 誰でも直感的な操作ができる
- 誰でも短時間で強力な分析ができる
- 誰でも短期間で習得ができる
クラウドやオンプレミスで導入できるほか、Salesforce CRM と統合でき、AI/機械学習も実装しています。
また、高い機能性だけではなく、ユーザーの立場に立った視点から製品が作られており、直感的な分析や短時間でインサイトを得ることを可能とします。
さらには、ワールドワイドで100万人以上を誇る「Tableau コミュニティ」で交流でき、Tableauを活用するための情報共有にも困りません。
大手企業の導入実績もあり、安心して使える点からもTableauはおすすめできます。
参照元URL(Tableauを選ぶ理由):
https://www.tableau.com/ja-jp/why-tableau
まとめ
SAP BO BIを導入することで、レポートの分析、データビジュアライゼーションとアナリティクスアプリケーション、Office製品との統合を行え、ビジネスニーズのサポートとパフォーマンスの最適化を期待することができます。
SAP BO BIを導入することで、データを可視化し、市場の変化や顧客ニーズを分析することが可能になります。
SAP BO BIを導入して成果を出している企業は世界中にあります。
経営の意思決定を早めたい企業は、SAP BO BIの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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例えば、ダウンロード資料の「SAPデータ活用って、正直どうすればいいの? ~BIツールの最適解~」には、SAPユーザー様がBI基盤を構築する際に考慮すべきポイントなどを掲載しております。
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資料ダウンロードページ:https://erp.isid.co.jp/download
本記事は、2021年8月6日時点の情報を基に作成しています。製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、各製品・サービスベンダーのサイトからお問い合わせください。