SAP データ活用 の最新トレンド(vol.48)

2021.10.19

近年、「データドリブン経営」という言葉が注目されています。
SAP ERP*に代表される基幹業務システムには日々のトランザクションデータが含まれており、これらのデータを経営に活用したいという要望が多く寄せられています。
本ブログでは、「データドリブン経営」を実現する上での課題や最新のトレンドについて、SAP ERPのデータ活用を基点に解説します。

*本ブログの「SAP ERP」は、「SAP ERP」および「SAP S/4HANA」を指します。

データドリブン経営とは?

データドリブン(Data Driven)とは、勘や経験だけに頼るのではなく、データの分析結果をもとに、課題解決のための施策立案やビジネスの意思決定などを行う業務プロセスのことです。

SAP ERPなどの基幹業務システムには日々蓄積される膨大かつ多種多様なデータが保管されており、これら業務上取得可能なデータを収集/分析し、経営戦略の策定/意思決定や業績向上を図る経営手法をデータドリブン経営と言います。

昨今では、DX(Digital Transformation)推進の潮流もあり、基幹業務システムのデータのみならず、これまでよりも取得できるデータの種類や量が格段に増えています。
例えば、消費者のネット上およびリアルでの行動履歴データ や、工場の生産状況や機械の稼働状況のデータなどです。

これら膨大な生データから、より精度の高い情報を洗い出し、BI(Business Intelligence)により様々な視点でデータを可視化することで、意思決定の支援、経営戦略の策定および売上予測などを行うことが求められています。

次項以降では、この「データドリブン経営」を進めるうえで中核となる基幹業務システムであるSAP ERPのデータ活用時に考慮すべきポイントと、SAP ERP以外の業務システムや各種データを格納するための基盤について解説します。

SAP データ活用 の課題

「データドリブン経営」を目指すうえで、SAP ERPなどの基幹業務システムのデータが必要なのは言うまでもありません。
しかし、SAP ERPのデータを取り扱う場合、以下のような課題があるため、留意する必要があります。

◇SAP ERPのデータは単純にエクスポートしただけでは使用できない
基幹業務システムの中でもSAP ERP特有の課題として、データベースにSAP ERP独自のデータが使用されているという問題があります。

SAP ERPのデータベースに格納されている列名や値は、独自の名称や式が使われています。
例えば、伝票明細において、会社名は「BUKRS」、伝票番号は「BELNR」、年度は「GJAHR」という列名で表されています。
SAP ERPのデータベースを直接参照しただけでは、意味不明の符号の羅列となり、レポート作成ができません。SAP ERPの場合、アプリケーションレイヤーを通して初めて意味のあるデータとして参照することが可能となります。

 

SAP ERPのデータベースに格納されている金額も、日本円の場合はシステム内部で、実際の金額の100分の1の値が格納されるようになっています。
例えば、日本円の55,555円は、SAP ERPでデータベースを直接参照すると、100分の1となり「555.55」として格納され、555,555円は「5,555.55」となります。
日本円は100分の1ですが、通貨によってはこの変換ルールが異なることもあり、レポート作成の際にデータベースを直接参照することが難しくなっています。

 

Non-UnicodeでSAP ERPを利用している場合、データベースの直接参照ではマルチバイトデータ(日本語の漢字、カタカナ、ひらがななど)が文字化けしてしまい、意味のある言葉として読み取ることができません。 Non-Unicodeシステムは減ってはいるものの、レアケースとして覚えておくとよいでしょう。

 

また、実際に社内システムがSAP ERPだけという企業は少なく、SAP ERP以外の業務システムも並行して利用しているケースが大半だと思います。その場合、SAP ERP以外の業務システムのデータもSAP ERP同様に抽出し、必要に応じて関連付けや名寄せなどのデータクレンジングを行う必要があります。

SAP データ活用 の最新トレンド

従来は、様々なデータを「データウェアハウス」と呼ばれるデータベースに一元的に格納し、BIツールを用いて分析しておりましたが、昨今では「データレイク」と呼ばれる生データ格納庫を併用することがトレンドになっています。

データウェアハウスとデータレイクは、どちらも大量のデータを格納するために広く使用されていますが、同じものではありません。
データウェアハウスは、特定の目的(分析・レポート作成等)のためにフィルタリング等の処理がされた構造化データが格納されたものなのに対し、データレイクは、ローデータの巨大なプールで生データが格納されたものとなっています。
生データをデータレイクに常時格納し、いつでも必要な時に使えるようにしておくことで迅速なデータ分析/活用が実現できます。

前述のとおり、SAP ERPなどの業務システムのデータだけではなく、SNSなどのアクセスログのデータや工場の工作機器や重機などに取り付けられた各種センサーのログのようにデータ量が膨大になってきており、一旦、データレイクに生データをそのまま格納し、目的に応じてデータウェアハウスに生データを加工したうえで分析/レポーティングを行うというような使い分けが行われています。
つまり、加工していない生データを蓄積するデータレイクに対し、分析や解析するのに整理したデータを蓄積するのがデータウェアハウスになります。
以下にSnowflake(スノーフレイク)を用いたデータ活用基盤の構成例のイメージを記載いたします。

主なデータウェアハウス/データレイク製品として、以下の3製品をご紹介します。

  1. Snowflake
    Snowflakeは「データクラウド」と呼ばれる、データウェアハウス・データレイク・データエンジニアリング・データシェアリング・データアプリケーション・データサイエンスの6つのワークロードで構成されたクラウドデータプラットフォームを提供しています。
    サイロ化されたデータの統合や、データの発見・共有・多様な分析の用途で利用される、マルチクラウド・ニアゼロメンテナンスのソリューションです。
    ・参照URL:https://www.snowflake.com/?lang=ja
  2. Microsoft Azure Synapse
    Microsoft Azure Synapseは、データウェアハウスやビッグデータシステム全体にわたって分析情報を取得する時間を早めるエンタープライズ分析サービスです。
    Microsoft Azure Synapseは、エンタープライズデータウェアハウスで使用されるSQLテクノロジ、ビッグデータに使用されるSparkテクノロジ、データ統合とETLおよびELTのためのパイプライン、Power BI、CosmosDB、AzureMLなどのAzureサービスとの連携が可能です。
    ・参照URL:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/synapse-analytics/overview-what-is
  3. Amazon Redshift
    Amazon Redshiftは、データウェアハウス、運用データベース、データレイクにあるペタバイト規模の構造化データと半構造化データを、標準的なSQLを使用したクエリで利用することができます。Amazon Redshiftを使用すると、Apache Parquetのようなオープンフォーマットでクエリの結果をS3データレイクに保存することもできます。これらによりAmazon EMR、Amazon Athena、Amazon SageMakerといった他の分析サービスを使った分析も実施できます。
    ・参照URL:https://aws.amazon.com/jp/redshift/?whats-new-cards.sort-by=item.additionalFields.postDateTime&whats-new-cards.sort-order=desc

※上記の各製品の記事は2021年10月1日の情報を基に作成しています。

まとめ

SAP ERPなどの基幹業務システムのデータにとどまらず、昨今のDX推進の潮流に伴い、膨大なデータを分析し、経営に活かす「データドリブン経営」が注目されています。
この「データドリブン経営」を進めるうえで、中核となる基幹業務システムであるSAP ERPのデータの取り扱いには留意事項があることや、SAP ERP以外の業務システムや様々なログなどの膨大な生データを格納するためのデータレイク基盤を整備するケースが増えてきていることを解説してきました。

ISIDは、Snowflake、Microsoft Azure Synapse、Amazon Redshiftといったデータウェアハウス/データレイクの構築はもちろんのこと、SAP ERPのデータ抽出を支援し、様々なBIレポートテンプレートを標準装備するソリューションであるBusinessSPECTREをご提供しております。

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<ご参考>
BusinessSPECTREご紹介Webページ:https://erp.isid.co.jp/solution/sap-bi-businessspectre/