SAP ECC を継続利用するために知っておくべき3つのこと(vol.42)

2021.8.31

SAP S/4HANA移行を検討中のユーザーの皆さまは、並行してSAP ERP Central Component (以下、ECC)6.0のメインストリームサポートが完了する2027年12月末まで現用のECC6.0を継続利用することも視野に入れていると思います。

そこで当ブログでは「ECC6.0を継続利用するために知っておくべき3つのこと」を具体的に解説します。
意外な盲点だったECC6.0継続利用の注意点が書かれているのは、このブログだけ!!
ぜひ、最後までご覧ください。

SAP ECC 継続利用の条件とは?

ECC6.0のメインストリームサポートを2027年末まで利用するためには、ご利用中のECC6.0が以下条件を満たす必要があります。

<必要条件>
 ・2025年末までにEhP6以上を適用していること

そこでまずは、「EhPってなに?」 「EhP適用はどんな作業をするの?」という疑問にお答えします。

EhPとは、SAP enhancement package for SAP ERP(エンハンスメント パッケージ(以下、EhP))の略称であり、ECC6.0導入済みのユーザーに、継続的に提供される機能拡張パッケージです。
そのため、EhP適用作業とは、一言で表すとバージョンアップ(=アップグレード)作業のことを指します。

EhP適用の作業内容は、
非互換のアドオンプログラム特定→アドオンプログラム改修→単体テスト→結合テスト→総合テスト→受入テスト
という一般的なバージョンアッププロセスを実施します。

ちなみに、EhP6以上であれば、メインストリームサポート終了後の2028年以降でも、SAPへ申し込みを行えば、2030年まで延長保守サービスを利用可能です。
なお、延長保守サービスを利用するには、現行の保守基準料金に2%の追加料金が加算されます。

参考URL(SAPジャパン公式サイト):
https://news.sap.com/japan/2020/02/sap%E3%80%81sap-s-4hana%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/

SAP ECC 継続利用の可否を確認する方法は?

EhPがなにかわかると、次に出てくる疑問は、
「うちの会社はEhP6以下かもしれない……」 という心配や、
「ハードウェアリプレース時にひょっとしたらEhP6.0以上にバージョンアップしてたかも?」 という期待です。

そこで、EhPのバージョンを確認する方法を以下に紹介します。今のうちに調べてしまいましょう!

<EhPのバージョンを確認する方法>

  1. SAP GUIにログイン
  2. システム(Y)をクリック
  3. ステータス(A)をクリック
  4. 詳細(虫眼鏡アイコン)をクリック
  5. インストール済SWコンポーネントバージョンタブを開き、「コンポーネント列」がSAP_APPLの「サポートパッケージ項目」を確認
  6. 「サポートパッケージ項目」の記載内容を、以下URLの「Support Package Name項目」

の記載内容と照合し、適合する「SAP Product Version」を確認する

<参照URL>
https://support.sap.com/ja/my-support/software-downloads/support-package-stacks/product-versions.html#section_1077404915

※2021年8月4日時点での上記URL記載内容は以下の通りです。

上記サンプル画面は、「サポートパッケージ項目」にSAPKH60417となっており、適合する「SAP Product Version」はEHP4 FOR SAP ERP6.0と記載されています。
よって当サンプルシステムのEhPのバージョンは4となります。

ここで、自社のEhPのバージョンが6未満だったり、もしくはEhPのバージョンが0=EhPを適用していない場合、SAP ECC6.0を継続利用するためにはどうすればよいのでしょうか?

その場合、以下の2通りの選択肢が存在します。

  1. EhP6.0以上へバージョンアップ
  2. 第三者保守に移管

まずは保守委託しているSAPベンダーに相談して、上記①の見積依頼を行うのが現実的かと思いますが、そこで一つ重要なアドバイスがあります。

SAP ECC 継続利用に必要なコスト見積取得方法は?

過去にSAP R/3 4.6C(以下、4.6C)からECC6.0へのバージョンアップを経験したユーザーは、バージョンアップ作業見積取得時に、次のような経験をされたのではないでしょうか?

  • 作業内容や作業範囲がよくわからないので、金額や期間の妥当性もわからず、
    相見積もりを取得しても比較検討が難しかった。
  • 結局、保守委託していたSAPベンダーにバージョンアップ作業委託を決定し、
    言われるがままに予算化し、作業を実施した。

当時はバージョンアップに必要な作業内容(特にアドオン修正箇所、テスト範囲)が不明瞭であったため、このような結果となってしまうのは致し方なかったでしょう。

しかし、この問題は新技術により解決しています。
EhPのバージョンアップ検討時に、アドオンプログラムを以下の観点で分析し、修正箇所とテスト範囲を事前に把握する技術です。

  • すべてのアドオンプログラムに対するEhP適用時の修正必要有無
  • すべてのアドオンプログラムの利用有無

概念的に言えば、前述観点での分析結果で、すべてのアドオンプログラムを以下の4象限に分類し、作業優先順位をつけるのです。
この優先順位に従えば、効率的で品質高いバージョンアップが可能になります。

①に分類されたプログラムは、アドオンプログラムの修正、単体テスト、結合テスト、総合テストを入念に実施します。
②③に分類されたプログラムは、動くことさえ確認できれば良いので、必要に応じたアドオンプログラムの修正後、最終的な総合テストの中で、稼働確認を実施します。
④に分類されたプログラムは、修正および確認テストを作業対象外にできます。

このようにアドオンプログラムを4象限に分類することで、作業の必要有無や優先度が判断できます。これにより、大幅な作業工数削減=コスト削減が可能となります。

ISIDは、この新技術を有するPanayaを使用した分析サービスにより、300インスタンス以上のSAPシステムを分析した経験を有しております。
その経験則から申し上げると、アドオンプログラムを4割以上利用しているユーザーは稀です。
一般的なユーザーは大体2割~3割程度しかアドオンプログラムを利用できていません。
そうなると①に分類されるプログラム数は、かなり絞られるものと推測できます。

また、このPanayaを使用した分析サービスを用いて相見積もりの取得することで、既存ベンダーの見積もりが適切かを判断することが可能となります。
各ベンダーから見積根拠が明確かつ同一粒度で比較可能な見積もりを取得する手順は以下の通りです。

  1. EhP適用時のアドオンプログラムへの影響度とテスト範囲を提示可能な
    Panayaを使用した分析サービスを利用
  2. 分析結果を用いて、EhP適用作業量(アドオン修正数、テスト範囲など)を明確にした
    RFPを作成して、各ベンダーに配布
  3. 各ベンダーから見積もりを受領

取得した見積もりはすべて修正対象やテスト範囲が揃っているため、各見積もりのコスト/期間を同一粒度で比較可能です。
この手順を踏めば、4.6CからECC6.0へのバージョンアップの時のような根拠不明瞭な見積もりではなく、見積項目が揃った根拠の明確なEhP適用作業の見積もりを各ベンダーから取得でき、その妥当性を比較できます。

なお、Panayaを使用した分析サービスのポイントは以下となります。

  • RFP作成に必要な分析結果(EhP適用時のアドオンプログラムへの影響度とテスト範囲)
    が“無償”で入手できる
  • 利用効果(ROI)を見極めたうえで、EhP適用プロジェクト実行時までに契約可否を判断できる

Panayaを使用した分析サービスの詳細は、下記URLの内容をご参照ください。
 https://erp.isid.co.jp/solution/sps-ehp-upgrade/

SAP ECC 継続利用の注意点とまとめ

先程 SAP ECC6.0を継続利用方法として以下2つの方法を挙げました。

  1. EhP6.0以上へバージョンアップ
  2. 第三者保守に移管

ここで、2.第三者保守に移管 についての注意点をお知らせします。
それは、“第三者保守に移管”した場合、「SAP S/4HANAへの“コンバージョン”パスが失われてしまう」ことです。

ISIDブログ「SAP 移行 ツール 重要な2つの基礎知識(vol.9)」にも記載していますが、SAP ECC6.0をSAP S/4HANAにコンバージョンするには、ATCやSimplification Item Checkなどのいわゆる「SAP標準ツール」による分析作業が必須です。
しかし、第三者保守に移管すると、当然SAPの保守サービスを利用できなくなるため、これらの「SAP標準ツール」も利用できなくなってしまいます。
標準ツールが利用できなくなると、SAP S/4HANAコンバージョンの見積作業ができなくなるため、SAP S/4HANAへのコンバージョンパスが“実質”失われてしまうのです。これは盲点でした!!
よって、第三者保守への移管は慎重に考える必要があります。

最後に、当ブログのポイントをまとめます。
■ ECC6.0のサポート期限は最長で2030年末まで
■ 2030年末までサポートを受けるための条件は、2025年末までにEhP6以上を適用すること
■ EhP適用がアドオンプログラムに及ぼす影響を分析するサービスの利用は、コスト削減に有効
■ まずユーザーが分析サービスを使用し、その分析結果を整理してRFPに添付のうえ、
 ベンダーに配布することで、修正対象やテスト範囲が揃った見積もりを比較でき、
 妥当性のある見積を選択可能
■ 第三者保守移管の注意点は、SAP S/4HANAへの“コンバージョン”パスが失われてしまうこと

ちなみに、もう一つの大きなテーマである『SAP S/4HANA移行検討』については、以下URLを参考にしてください。
https://erp.isid.co.jp/solution/sap-s4hana-assessment/

もし、ECC6.0の継続利用でお悩みがあれば、ぜひ、我々ISIDにご相談ください。
Panayaを使用した分析サービスにより、300インスタンス以上のSAPシステムを分析した経験から、皆様のお悩みを解決する術をご提供いたします。