SAP HANA とは?「S4、Cloud、DB、プラットフォーム」関連する全ての疑問をわかりやすく解説(vol.67)

2022.4.11

SAP HANA(ハナ)」という言葉を最近よく耳にするかと思いますが、どのような意味で、何を指す言葉なのでしょうか?
「S4、Cloud、DB、プラットフォーム」と、SAP HANAに関係するキーワードはたくさんありますが、正しい意味やどのような意図で利用されているかご存じでしょうか?

本ブログでは、SAP HANAにまつわる疑問を皆さまにわかりやすくご説明のうえ、インメモリデータベースの速さの秘密や、SAP HANA Enterprise Cloud(HEC)Business Technology Platform(BTP)についても併せて解説します。

SAP HANAは、ERPやCloudサービスのこと?

SAPユーザーやSAPに関係する方は、「HANA(ハナ)」という言葉をよく耳にするかと思います。この「HANA(ハナ)」とは、正確にはどういう意味なのでしょうか?

この「HANA(ハナ)」という言葉をよく聞くシーンとして、「SAP 2027年問題」が挙げられます。「SAP 2027年問題」とは、SAP社が提供するERPシステム「SAP ERP Central Component (以下、ECC)6.0」のメインストリームサポートが2027年に終了する問題です。そのため、SAP ECC6.0ユーザーは、2027年までに次期基幹システムへ移行しなければなりません。そこでよく聞く言葉が「HANA(ハナ)」となります。

この「HANA(ハナ)」という呼称は、大きく下記3つの意図で利用されることがあります。「HANA(ハナ)」の指す意味が3つのパターンでそれぞれ異なるため、よく読んでご理解ください。

「HANA(ハナ)」の呼称が指す意味①SAP S/4HANA

「HANA(ハナ)」の呼称が指す意味①は、SAP S/4HANA(オンプレミス版)です。
SAP S/4HANAは、SAP社が提供する次世代ERPのことで、SAP ECC6.0の後継製品になります。『今のECCを入れ替えるなら、やっぱり「HANA(ハナ)」かな』と言っている人がいれば、SAP S/4HANAを指している可能性が高いでしょう。
SAP S/4HANAにはオンプレミス版とクラウド版がありますが、SAP S/4HANAとだけ言う場合は、オンプレミス版のことを指します。

「HANA(ハナ)」の呼称が指す意味②SAP S/4HANA Cloud

SAP S/4HANAにはオンプレミス版とクラウド版があると説明しましたが、SAP S/4HANA Cloudがクラウド版に当たります。そのため、『次期基幹システムは「HANA(ハナ)」がいいな』と言われた場合、オンプレミス版とクラウド版のどちらを指しているのか、真意を確認する必要があります。
このように「HANA(ハナ)」と言っている人が指す意味は、前述の①や②に該当するかもしれません。
しかし、重要なのはここからです。「HANA(ハナ)」と言っている人は、後述の③に該当しているケースが、言葉の意味を正確に表現していると言えます。それは、『データベースの「HANA(ハナ)」』です。

SAP HANAは、DBのこと?

では、『データベースの「HANA(ハナ)」』と呼ばれるものは何を指すのでしょうか?
実は以下③が「HANA(ハナ)」を正確に表現していると言えます。

「HANA(ハナ)」の呼称が指す意味③SAP HANA

SAP HANAは、SAP社が独自に開発したハイパフォーマンスなインメモリデータベースのことです。SAP HANAは、まさにデータベースそのもの、RDB:リレーショナルデータベースを指しています。このSAP HANAを搭載したERP製品が、SAP S/4HANAです。

「HANA(ハナ)とは、正確にはSAP製のデータベースのことを指しているのか」
と安心された皆さま、少々お待ちください。
実は、SAP HANAにもオンプレミス版とクラウド版があり、単にSAP HANAとだけ言う場合は、オンプレミス版のことを指します。クラウド版は「SAP HANA Enterprise Cloud」と言い、略称で「HEC」と呼ばれることが多いです。このHECは、データベースだけでなく、SAP S/4HANAを含むSAP Business Suite製品群を運用するために特化したリソース一式を運用サービス込みで提供するPaaS型のマネージドクラウドサービスとなります。

上記①②のように、SAP S/4HANAのオンプレミス版やクラウド版を「HANA(ハナ)」と略して言うケースもあるかと思いますが、”ERP製品“の「SAP S/4HANA(オンプレミス版)」や「SAP S/4HANA Cloud(クラウド版)」と呼ぶと誤解がないでしょう。

「HANA(ハナ)」の呼称が指す意味として、ERP製品である「SAP S/4HANA(オンプレミス版)」や「SAP S/4HANA Cloud(クラウド版)」と、データベース(DB)である「SAP HANA」があることをご理解いただけたかと思います。

次章では、「HANA(ハナ)」を正確に表現しているインメモリデータベースのSAP HANA(DB)について、わかりやすく解説していきます。

SAP HANA(インメモリデータベース)が高速な3つの理由

SAP HANAはインメモリデータベースであることが最大の武器です。インメモリデータベースの最大の特長は「圧倒的な高速性」です。この圧倒的な高速性を実現したポイントは3つあります。

  1. メモリ上のデータにアクセス
    従来のデータベースはSSDなどにアクセスするディスクの性能によって、速度がボトルネックになってしまうことがあります。SAP HANAはディスクの性能に依存せず、高速処理が可能です。その理由はメモリ上のデータにアクセスするからです。「メモリ上?」と聞くと操作ミスやトラブル時にデータを失ってしまいそうですが、SAP HANAは更新データを失わないため安全です。図1を見ていただければ、イメージがつきやすいのではないでしょうか?

  2. 分析処理とトランザクション処理を高速実行する仕組み
    SAP HANAは、SAPユーザーにとって慣れ親しんだリレーショナルDBの表(テーブル)形式で参照可能です。よって、従来通りの操作でDB設計やアプリケーション(SQL)開発が可能です。しかし、データベース内部のデータ格納方式に特徴があり、高速処理を実現します。
    図2にあるように、表データをメモリ上のデータ格納単位毎にSAP HANAが自動で配置します(ユーザーは意識する必要はありません)。そして、データ処理特性に応じてデータ格納方式を選定します。また、カラムストアの場合、分析対象データに効率的にアクセスし、冗長なデータを高圧縮します。これにより、高速処理を実現します。

    データ更新時にはどうしてもアクセスが遅くなってしまいがちです。しかし、SAP HANAでは、図3のように専用メモリ領域によるトランザクション処理を実装することにより、データ更新時も高速処理を可能とします。

  3. 最新のCPUテクノロジーを活用
    サーバCPUの技術は年々向上しています。そのひとつがSIMD(Single Instruction Multiple Dataの略、シムドやシムディと呼ばれる)です。
    SIMDとは、1つの命令で同時に複数のデータを並列に処理する方式です。
    図4にあるように、従来のデータベース処理では、「販売店=横浜店」の問合せ条件であれば、1件ずつのデータから「横浜店」の確認処理を繰り返します。しかし、SAP HANAでは、SIMDの活用により複数のデータを一括処理するため、一度に「横浜店」を並列処理で確認できます。

このようなアーキテクチャーや最新のテクノロジーを活用しているからこそ、SAP HANAは「圧倒的な高速性」を発揮できるのです。
インメモリデータベース搭載のSAP S/4HANAを使ってみたくなりますね!

SAP HANAをベースとした開発プラットフォーム:Business Technology Platform(BTP)とは?

SAP HANAはSAP S/4HANAのデータベースとして使用されていますが、SAP S/4HANAとのシームレスな連携が可能なアドオン開発プラットフォームとしても利用されています。SAP HANAを使用したクラウド開発環境をBusiness Technology Platform(以下、BTP)と言います。BTPはクラウドサービスのため導入が容易であり、オープンな標準ベースのプラットフォームとして、アプリケーション開発、高度分析処理、データ統合やデータ品質、データベース管理などの様々な利用シーンで活用できます。

BTPはローコード開発ツールのように利用でき、自社に最適なUIやロジック開発を比較的容易に可能とします。また、BTPはクラウド対応データ基盤として、企業全体のデータを統合し、迅速な意思決定を実現してくれます。

参照元URL:https://www.sap.com/japan/products/hana/cloud.html

まとめ

『SAP HANAとは?「S4、Cloud、DB、プラットフォーム」関連する全ての疑問をわかりやすく解説』と題し、SAP HANAについて解説して参りました。

「HANA(ハナ)」の呼称が指す意味としては、以下の4つが考えられます。
①SAP S/4HANA(オンプレミスERP)
②SAP S/4HANA Cloud(クラウドERP)
③SAP HANA(データベース)
④SAP HANA Enterprise Cloud(PaaS型マネージドクラウドサービス)
→SAP HANAと言えば、上記③のデータベースのことを指すのが正確な表現です

また、SAP HANAのインメモリデータベースが高速な3つの理由は以下の通りです。
①メモリ上のデータにアクセスできるから
②分析処理とトランザクション処理を高速実行する仕組みがあるから
③最新のCPUテクノロジー(SIMD)を活用しているから

その他、SAP HANAをベースとしたBusiness Technology Platform(BTP)という優れた開発環境も存在します。

「SAP HANA(ハナ)」をベースとした製品/サービスを活用することは、皆さまのビジネスの意思決定やDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現の一助になるものと思います。
是非、導入検討をされてみてはいかがでしょうか?

 

本記事は、2022年3月31日時点の情報を基に作成しています。製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、ISIDのWebサイトからお問い合わせください。
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