SAP 移行 モジュールのサポート期限は大丈夫?(Vol.21)

2021.3.30

SAP S/4HANAへの移行について、いつ移行するのが適切か、お悩みのSAP ERP Central Component 6.0(以下、SAP ECC6.0)ユーザ様は少なくありません。
業務改革を起点とした移行前提であれば、すぐにでも移行プロジェクトに着手する考えもありますが、やはり、システム移行の契機はサポート期限切れではないでしょうか?
しかし、一口にサポート期限と言っても、ハードウェア、OS、DB、アプリケーションのそれぞれにサポート期限があり、更に、アプリケーションの中でも、SAPはモジュールごとにサポート期限が異なります。

そこで、本ブログでは、意外と知られていない各モジュールのサポート期限やその対応を鑑みた適切な投資計画の立案方法について解説します。

SAP S/4HANA 移行、いつまでに実施しますか?

SAP S/4HANAへの移行検討にあたり、以下のようなお悩みをよく耳にします。
・SAP ECC6.0のサポート期限が延長されたけど、結局、いつまでに対応しないといけないの?
 何から取り組めばいいの?
・Greenfield(リビルド)とBrownfield(コンバージョン)は、どちらが最適?
・移行費用はいくらくらいかかるの?
・適切なコンバージョンSTEPとは?具体的に何をすればいいの? ……, etc.

今回は、その中から“いつまで”にどのような対応を実施する必要があるのか、SAP移行タイミングのご検討に必要となる要素にフォーカスしていきます!!

SAP 移行、必要となるEOL対応(モジュール、OS、DB、ハードウェア)

SAP S/4HANA移行のタイミングについて、契機はやはりサポート期限ではないでしょうか?
一口にサポート期限と言っても、以下の要素が考えられます。
・SAP ECC6.0のサポート期限
・SAP ECC6.0の各モジュール(SAP BW、SAP BO、SAP HCMなど)のサポート期限
・OSやDBのサポート期限
・ハードウェアのサポート期限

2020年2月4日、SAP ECC6.0のサポート期限の延長が発表されました。
これは、SAP Business Suite7(SAP ECC6.0含む)のメインストリームメンテナンスの提供期間を、それまでに予定していた2025年末から、2027年末へと変更するという内容であり、多くのSAP ECC6.0ユーザ様を驚かせ、そして、今後の対応についてどうしようか頭を抱えていらっしゃったユーザ様にとっては朗報となったものと存じます。
ただし、このメインストリームメンテナンスの提供期間の延長は、EHP6以上を対象としております。
EHP6未満のユーザ様が2025年以降もSAP ECC6.0を継続利用するためには、EHPアップグレード作業が必要となります。
EHPアップグレード作業にお金をかけるのであれば、これを機にSAP S/4HANAへ移行してしまった方がよいのではないかとのお考えもあるかと思います。

また、SAP ECC6.0のモジュールのサポート期限が、SAP ECC6.0本体とは別途で設けられていることをご存じの方はいらっしゃるかもしれませんが、それがそれぞれいつなのかを把握されている方はそこまで多くないのではないでしょうか?

そこで、次項で各モジュールのサポート期限についてまとめてみました。

SAP 各モジュールのサポート期限 (SAP ECC6.0)

SAP ECC6.0の各モジュールのサポート期限は以下の通りでした。(2020年12月時点) 

Product Version End of
Mainstream Maintenance
End of
Extended Maintenance
SAP ERP Central Component 6.0
EHP1-5 FOR SAP ERP 6.0 2025年12月31日
EHP6-8 FOR SAP ERP 6.0 2027年12月31日 2030年12月31日
SAP NetWeaver
SAP NetWeaver 7.30-7.40 2020年12月31日
SAP NetWeaver 7.5 2027年12月31日 2030年12月31日
SAP NetWeaver Business Warehouse
SAP NetWeaver 7.30-7.40 2020年12月31日
SAP NetWeaver 7.5 ※1 2027年12月31日 2030年12月31日
SAP BW/4HANA
SAP BW/4HANA 1.0 2021年12月31日
SAP BW/4HANA 2.0 2024年12月31日
SAP BusinessObjects Business Intelligence platform
SBOP BI PLATFORM 4.1 2018年12月31日 2020年12月31日 ※2
SBOP BI PLATFORM 4.2 2022年12月31日 2024年12月31日 ※2
SBOP BI PLATFORM 4.3 2025年6月30日 2027年6月30日 ※2
SAP ERP 6.0 HCM
EHP1-5 2025年12月31日
EHP6-8 ※1 2027年12月31日 2030年12月31日
SAP CRM 7.0 / SAP SCM 7.0
EHP1-2 2025年12月31日
EHP3-4 ※1 2027年12月31日 2030年12月31日

※1:2027年移行のサポートは、NetWeaver7.5と同様。詳細はNote1648480を参照
※2:End of Priority One Support Phase の期限

ご覧の通り、SAP BW、SAP ERP 6.0 HCM、SAP CRM 7.0、SAP SCM 7.0はバージョンアップ対応を実施することで、SAP ECC6.0と同様、2027年12月31日までメインストリームメンテナンスを受けることが可能となります。

注意が必要な点を申し上げると、SAP BW7.5未満をご利用のユーザ様は、既にサポート期限切れのため、すぐにでもバージョンアップ対応が必要となります。

また、2020年に弊社が実施したSAP ECC6.0ユーザ様向けアンケートにおいて、最も多かったMicrosoft社のOS/DBのサポート期限については以下の通りです。

Product Version End of
Mainstream Maintenance
End of
Extended Maintenance
Windows Server
Windows Server 2012 2018年1月9日 2023年1月10日
Windows Server 2012 R2
Windows Server 2016 2022年1月11日 2027年1月11日
Windows Server 2019 2024年1月19日 2029年1月9日
SQL Server
SQL Server 2012
※Service Pack 4
2017年7月11日 2022年7月12日
SQL Server 2014
※Service Pack 3
2019年7月9日 2024年7月9日
SQL Server 2016
※Service Pack 2
2021年7月13日 2026年7月14日
SQL Server 2019 2025年1月7日 2030年1月8日

例えば、SAP ECC6.0 EHP6未満、且つWindows Server2012/SQL Server2012をご利用のユーザ様であれば、一気にSAP S/4HANAへ移行するのではなく、一旦、OS/DBのバージョンアップ対応を実施し、それと併せてEHPを6以上へアップグレードすることで2025年以降もSAP ECC6.0を継続利用可能となりますので、この延命された期間でSAP S/4HANAへ移行検討を進めるという選択肢も存在します。

どのような選択をすべきか、中長期を見据えたITロードマップを策定することでコスト・リソースの最適化を図ることが重要となります。

SAP 移行 に向けた適切な投資計画立案手法

上記に加え、ハードウェア/周辺システムのサポート期限対応、SAP ECC6.0のユニコード対応および現状抱えている課題への対応などを加味したITロードマップを立案することで、適切な投資を可能とします。
もちろん、SAP導入時期やOS/DBをはじめとする製品/サービスの保守ポリシーなどにより、システム環境や課題はユーザ様ごとに異なります。

そこで、弊社では、4つのフェーズからなる「ITロードマップ策定支援サービス」をご提供しております。

<ITロードマップ策定支援サービス 概要>
①ロードマップ作成計画フェーズ
・ロードマップ作成の背景/IT戦略上の位置づけ/現時点での制約事項/プロジェクト化対象 の確認

②調査/検討フェーズ
・現状システムランドスケープの調査
・非機能要件レベルの整理(ハードウェア)
・現状システム課題の確認
・課題検討/対応方針策定
・システム中長期計画の仮作成
・Panayaを使用したSAP ECC6.0のアップグレード影響分析

③ToBeモデル作成フェーズ
・技術ロードマップ作成(IT製品、サービス)
・短期ToBeモデル作成(直近1年間)
・長期ToBeモデル作成(1年後~6年後までの5年間)
・概算コスト試算

④ロードマップ作成フェーズ
・プロジェクト化計画定義
・前提となる技術予測のまとめ
・必要となるリソース定義
・ロードマップの前提条件まとめ
・ロードマップの見直しが必要となる事項定義

これら4つのフェーズを経ることで、中長期を見据えた段階的な移行計画を立案し、適切なシステム投資を促します。

上記はあくまで弊社サービスの実施概要であり、サービスとしてご提供することを前提とした内容となっておりますが、ユーザ様が主体となって簡易的なITロードマップを作成することは十分に可能かと存じます。
その際のポイントとしては、単にマイグレーションやアップグレードの実施時期を定めて必要最低限のタスクをまとめるだけではなく、それらと併せて不要なアドオンを整理することでコストとリソースの最適化を図れるように計画を立てることが重要となります。

弊社では、Panayaを使用した簡易的なアセスメントサービスを無償でご提供しております。SAP ECC6.0のマイグレーションやアップグレードに向けたITロードマップを立案する際には、ぜひお声がけください。

ITロードマップ策定支援サービス:https://erp.isid.co.jp/solution/sap-erp-it-loadmap